東京☆スナップ 特集4!

 

 

 

今回の特集  「ピエロのブライダルカメラマン」
           (執筆:田舎のブライダルカメラマン)


  「α-DIGITAL FUN」のマスターである、「田舎のブライダルカメラマン」さんが今回の特集を飾ってくれました!
  「東京☆スナップ」と読者の皆さんのために…。
 
 自らの写真とのかかわり、さまざまな出来事や思いを寄せていただきました。
  今までの特集に無い読み物になりました。
 

 注意:この文書および画像は 「田舎のブライダルカメラマン」さんのものであり、断り無く複製や転載はできませんのでご注意ください。
  記載されている内容についてのお問い合わせやご指摘などはE-mailや掲示板などでお受けしますが、ここに記載されている情報によって万が一なんらかの不利益を読者の方が被るといった場合でも責任を負うことはできませんのであらかじめご了承ください。

 みなさんの楽しみの一つになれば幸いです。

 




 

 

 「ピエロのブライダルカメラマン」


  「写真に関してはいつまでもアマチュアでいよう・・・。」


  僕はいつも心の中でそう自分に言い聞かしている。
 勿論、僕もプロの端くれだだから引き受けた仕事は絶対にこなさなければならない。
 何があっても素材となる写真を持ち帰らなくてはならない。

 しかしこと”写真に対する気持ち”だけはアマチュアでありたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言えばもうすぐ…。

  もうすぐ僕がカメラマンと呼ばれるようになって四度目の夏がやってくる。
 この四年間は短かった。
 しかしそれまでの生活がほんの一瞬の出来事だと思われる程の多くの経験をした。
 プロになって始めて独りで撮った被写体は今でもはっきりと覚えている。
 サバである。

 雑誌社の仕事で小さな港町の取材で撮ったサバの水揚げの写真だ。
 ロケ地に着くとその小さな漁港は豊漁で人々の声と熱気で溢れかえっていた。
 サバが何人も人が入れそうな大きな網で船から選別所へと運び込まれていた。
 僕はその作業風景をアングルを変えながら何枚もシャッターを切った。
 始めての仕事だからどうしてもいい絵を雑誌社に届けたかったのだ。

 ポジを五本程撮った所でその作業は一時中断したので僕はスタジオに引き上げる事にした。
 帰り際に「兄ちゃんサバ持って帰ってやんな〜!」とサバの氷漬けを発泡スチロールごと手渡された。

 その時にもらったサバの味は格別だったのを今でも覚えている。
 寝坊助の僕が朝4時に起きた報酬にしては充分過ぎる美味しさだった。

  ただ、帰る途中のワゴン車の中は相当な臭いだったが。(笑



 

 

 


 それから僕は必死に写真の事を覚える為に頑張って来た。写真に関する多くの書物を読み、多くの仕事をこなした。

  朝起きてから夜寝付くまで写真の事だけ考えていた。
  休日もカメラを持ち歩き、町中を探索して撮りまくった。
  上手くなりたかった。
  誰よりも上手くなりたかった。

  やがてひとりでに僕の元に仕事がやってくるようになり、毎日が充実してきた。
  しかし一方で僕の心は楽しくなくなっていった。
  「誰にも認められるように撮らなくてはならない。」と言う思いが更に僕を追いつめた。




 そんな時、僕は内科検診に引っかかった。

  医者に依ると「大腸ガンの疑いがある。」との事だった。
 検査漬けの日々が始まり、僕は死を覚悟した。
  しかしそれでも仕事をしている間だけはその恐怖から逃れられたのは仕事のプレッシャーが恐怖より勝っていたからだ。

  最後の検査が終わり、ホッとする結果が出た時、僕はふと思った。

  「一体僕は何をしてきたのだろう?」良い写真を撮ってお金を得ても何が残るのだろうか?
  「仕事だから仕方が無い…」で、どれだけ多くの悦びを犠牲にしてきたのだろうか?

  仕事の疲れで家族にヒドイ当たり方をした事もある。
 撮影の邪魔になった機材を蹴飛ばした事もある。

  僕は考え込み、そして悩んだ。

 

 

 

 結局僕が導き出した答えはカメラマンである事を止める事だ。と言っても本当に職を変えるのではない、カメラマンである前に人生の悦びを知る人間になろうと思ったのである。



  そして僕は写真だけを撮るのではなく、人とのコミュニケーションが大切なブライダルカメラマンになった。

  ドレスを着て撮影するなど多くの人にとっては特別なイベントである。殆どの人がその特別な雰囲気に酔い、そしてそれを喜んだ。
  僕は自分の表現が出来なくても人に喜んでもらえる楽しさを知った。

  この仕事は面白い。まず色々な人と出会える。
  変人と言われる人々、オタクと言われる人々とも仲良く仕事をしなくてはならない。
  その組み合わせも千差万別、美女と野獣の定番カップルは勿論の事、ジェームスディーンと野沢直子のカップルだって見れるのだ。(笑

  そして人生で恐らく最も奇麗であると言える女性達を数多く見れる。
  彼女たちは例外無くダイエットに励んでくる。
  またはお腹に子供がいる花嫁さんも多い。
  そういう環境で体調を崩す花嫁さんも多いから無理な注文は出来ない事もある。
  相手が真剣な時期ならこちらも真剣にと行きたい所だが、そうではない、相手の心・体調を見据えるだけの余裕が無くてはならない。

  ただ優秀なカメラマンと言うだけでは務まらない仕事なのである。
  だからこの仕事は「人間の幅を大きく広げてくれる。」と僕は思っている。


 

 

 今、そんなカメラマンになって二年が過ぎようとしているが、まだまだ課題は多くある。
  ブライダルカメラマンは散髪屋と同じで人生のイベントなので仕事に困る事が少なく、こんな僕でもある程度の収入を得れるようになったが、今でもふと思い出す時がある。

  「あの時のサバの味」いくら給料が上がっても、あの時の報酬以上の価値はあるのだろうか?少なくとも気持ちの上であのサバの悦びに敵うべくもない。



 

 

 それよりも僕を毎日仕事場へ向かわせるのはプレッシャーなんか足元にも及ばない新郎新婦やご両親の喜ぶ顔なのだ。

  「ブライダルカメラマンはピエロでなくてはならない。」それが僕の撮影スタイルだ。

  ピエロはスッと人の心に入り込み、そして何の抵抗もなく笑顔を作り出す。
  どんな人に対しても平等に、ただ心からの笑顔を作り出すのである。
  ブライダルカメラマンもそうでなくてはならない。
  例え人から笑われようとそれを楽しめなくてはならない。

  まさしく究極のアマチュアイズムである。
  アマチュアの精神を忘れてプライドに走ったカメラマンにはブライダルフォトは務まらない。
  そういう方は高度な技術を必要とする広告の撮影などで名を馳せればいい。

 



  「さぁ、ピエロのカメラマンの出発だ!」そう心に思いながら名も無き新米のブライダルカメラマンは今日も黒いスーツに黄色いネクタイを締めて仕事に向かうのであった。

 

 











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